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第三回目 うつ病を照らす -なぜなるのか-

第三回目 うつ病を照らす -なぜなるのか-

●うつ病の有病率
 うつ病は男性で5~12%、女性で10~25%生涯発症率があるといわれています。きわめて「よくある病気」です。みなさんは、心療内科・精神科なんて自分は一生関係ないとたぶん思われているかもしれませんが、睡眠障害や、不安障害などいろいろな精神科疾患がきわめて高率に発症するため、心療内科・精神科をほとんどのひとは障害に一度は受診すると思います。心療内科・精神科にかかるということをためらわないでください。ためらうと、うつ病の場合、自殺などのとりかえしのつかないことになってしまいます。
 うつ病のもうひとつの特徴は、女性に多いということです。医学の常識ですが、じつは、女性にしかない器官の病気をのぞいて、女性のほうが多い病気というのは非常に少ないのです。その証拠に、女性のほうが長生きですし、出生率の男女比というのも面白いことに、女100:男105と男の子が多く生まれます。しかし、成人になるころにはこの比は1:1になります。それだけ、男の子の方が乳幼児死亡率が高かったのです。女性にうつ病が多いという特殊な状況をなかなかきちんと説明はできないのですが、仮説として、女性ホルモンが関与しているという説、出産に伴う産後うつやマタニティーブルーの問題、女性特有の心理的ストレスの関与などがあげられています。
 また、1950年ころにはうつ病は20代と50代ころに発症の山が認められましたが、現在では、年齢が高くなるとともにうつ病の罹患率も上がり、老年期の病気として重要視されるようになってきました。

●うつ病の成因
1.病前性格
うつ病になりやすい性格を病前性格といいます。うつ病ほど、病前性格についていろいろ議論された病気も少ないでしょう。現在でも多くの精神科医はうつ病の病前性格について、根拠ないまま信じ込んでいます。すなわち、几帳面、真面目、熱心で、対人的に円滑な関係を望み争わない、変化に対する順応性が低いなどの性格傾向です。
 しかし、現在の精神医学のたどりついた、科学的結論は、うつ病になりやすい性格はないということです。裏返して言えば、どんな人でもうつ病になりうるということです。
 かりに、うつ病になりやすい性格が明らかになったとしても、性格を変えることはほぼ不可能ですから意味がありません。さらに、従来、うつ病になりやすいとされてきた「几帳面、真面目、熱心、円滑な対人関係」などの性格は、人間として模範的な性格ではないでしょうか。みなさんは、このような性格になるように努力し、子どもにもこのような人間になるように教育しないでしょうか。
私も精神科医になりたてのころは、そこらへんのところがわからず、患者さんに「あなたはもっとずぼらになったほうがいい」などといっていました。しかし、社会や自分自身が「かくあるべき」と信じて、ある意味自身さえ抱いている性格を悪者扱いしてしまうのは、うつ病の患者さんの自責間や自信喪失をさらに刺激、悪化させることになり、よい結果に結びつかないのです。したがって、きちんとトレーニングを受けた精神療法家以外は、うつ病の人の性格についてあれこれと「アドバイス」や「指導」はするべきではないでしょう。

2.状況因
 うつ病になりやすい状況というのは、かなり明らかになってきています。状況というのは環境やストレスも含む概念だととらえてください。環境やストレスがうつ病の発症に関係しているという科学的証拠はあります。しかし、はっきりしているのは、未婚、離婚、親や配偶者の死、失業そして都会より郡部という因子だけです。はっきり否定されているのは、性格と経済状態です。都会より郡部に多いというのは面白い結果で「現代社会が生み出すストレスがうつ病を増加させている」というような論調はなりたちません。しかし、WHOの統計によればアジアは欧米に比べてうつ病が少ないということになっていたのですが、ごく最近中国の研究者によって、アジアでもうつ病が増えているといわれています。また、直接の関係はないにしろここ数年わが国での自殺者の増加は異常なことです。
科学的証拠はありませんが今までによくいわれてきた発症状況は、昇進、配置転換、転勤、新たな達成課題、試験、病気、負傷、居住環境の変化(転居、改装、新築)などです。一見、昇進や新築などおめでたいことのように思われますが、責任が大きくなったり、多額のローンをかかえることになるなどストレス因としては結構大きなものでもあります。状況因は、病前性格とは違い、変えることのできることもありますから、いろいろと工夫してみる余地はあります。うつ病の患者さんへのもっとも簡単な援助は、このような状況因を、除くことです。除くのが困難な場合もありますから、そのようなときには、一定期間そのような状況から離してやる(入院はその一つの手段)、あるいは代替的状況に移してみる(職場での配置転換)ことが、すぐにだれでもできる援助です。

3.生物学的因子
 遺伝子研究はいままでのところ、うつ病について決定的な成果をもたらしていません。ヒトゲノムが2003年4月にすべて明らかになって、研究者の見解は単一遺伝子にこの病気を帰着できないという結論です。多因子遺伝も現在の方法論では限界があり、むしろ、「がらくた遺伝子」とよばれてきたたんぱく質を作り出さない部分のDNAや、たんぱく質の発現をコントロールしているエピジェネティック(DNAによらないたんぱく質発現コントロール様式)な領域に、第一線の研究者の目は注がれているようです。
 昔からあるうつ病の病因仮説は、モノアミン枯渇説です。レゼルピン(降圧剤の一種。今ではあまり使われない)で神経末端からモノアミンが出ない状態にしてやると高率にうつ病を発症します。なかでも、セロトニン、ノルアドレナリン、ドーパミンの関与が注目されており、そのため抗うつ薬はふるいタイプの三環系抗うつ薬でも21世紀の抗うつ薬のSSRI,SNRIでも前2者をシナプスで増やす働きを持っています。


●一口メモ
 うつ病といえば正確には前回説明した、米国精神医学会の言う「大うつ病エピソード」を指しますが、よく「うつ病と抑うつ状態はどう違うの」と聞かれます。抑うつ状態は、うつ病のひとつの部分症状です。ですから、ほかの疾患でも抑うつ状態にはなります。また、うつ病近縁の疾患として、最近の分類に従うといろいろなものがあります。たとえば、適応障害(なんらかのストレス因によって抑うつ状態を示すがうつ病の診断基準は満たさないもの)、気分変調性障害(軽症の抑うつ状態が慢性的に経過するもの)、双極性障害(かつての躁うつ病。単極性とは異なる疾患と現在では考えられている)、気分循環性障害(軽症の躁状態やうつ状態を繰り返す)などです。最近のきちんとした知識を持っている精神科医はこのように分類するので、なかなか「うつ病です」とは断言しませんが、「うつですなあ」とはいいます。患者さんが混乱しても当然です。わからない場合はきちんとした診断名を医師に尋ねてください。

ケースAさん 50代 男性
 Aさんは、仕事一途なタイプで、毎日遅くまで仕事に没頭し、それで業績が上がることに非常な満足を覚えていました。趣味は仕事というくらいで、休日も家で仕事の準備やプランをたてていました。そうした努力が認められ、会社で責任のある立場に昇進しました。ところが、昇進を契機に、実務を離れてしまい、管理的業務が増えました。部下をまとめたり、上層部に新しい企画の予算折衝に行ったり、取引先とのつきあいが増えたり、今までとまったく違うストレスを味わうようになりました。「実務に戻りたい。」と妻には、昇進後からもらしていました。さらに、景気の悪化から、会社の業績も上がらなくなったため、厳しく売り上げや、納期について迫られる様になり、昇進するまではむしろ楽しんでしていた残業や休日出勤が、だんだんと重荷に思えてきました。ある取引先が、他社と取引きすることになり、それもまた自分のせいではないかと思うようになり、このころから会社に行くのが億劫になってきました。夜も全然眠れません。好きだった、テレビでプロ野球を見ることもしなくなり、ついに会社を休み、家族がいなくなるのを待って、ズボンを鴨居に結び、首をつりました。たまたま、長男が、忘れ物をして家に帰り、その状態をみつけ、すぐに救急車を呼んで一命を取り留めました。救命処置後、精神科病院に医療保護入院となり、抗うつ剤を投与され、一か月で退院でき、その後は外来に定期的に通い安定しています。会社にも、配置を転換してもらうことで復職できました。Aさんがここまで治ったのは、1.生真面目な性格なのできちんと服薬を続け、通院していること2.職場の復職に対する理解が得られたこと3.退院後は、趣味で囲碁を習い始めたことで、碁会所仲間という仕事以外の人間関係が築けたこと4.家族の温かい見守りが得られたこと、などによるでしょう。このように、重症のうつ病でも医師の指示を守り、家族、職場の理解が得られれば、うつ病は克服できる時代になりました。

(本文は、養徳社刊「陽気」に平成17年1月から平成18年12月まで連載された「こころの窓」に加筆、修正をしたものである。)

2014-08-11 17:01:33

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著者プロフィール

北海道札幌市に生まれ育つ。
北海道人としてのアイデンティティを持っている。
ツキノワグマは怖くないと思っている。
自然が好き。

飛行機のパイロットになりたかったが、高校のとき自然気胸をし、夢を閉ざされ、医師になろうと方針転換したが、数学が苦手で困った。克服するために、朝学校へ行く前に、一題難問を覚えて、学校につくまでに、頭の中だけでその問題を解くという荒行をする。その成果か、偶然か志望校に合格できた。努力は報われると信じている。しかし、大手航空会社の経営危機の話が問題化してきて、人生万事塞翁が馬だなとこのごろ実感する。勉強するとお腹がすくのは何故だろうと真剣に考え、その時脳はどう活動しているのか知りたくて、今で言う認知科学を目指し、精神科医になる。

医者と言うのは基本的には「医局人事」ということがあり経歴欄にあるような病院にあちこち行く。転勤は大変だが、いろんな特色のある病院で働き、とても多くの得るものがあり、それが今も自分の血となり肉となっていると思う。阪神大震災のとき、ボランティアで神戸に行き、それがきっかけでPTSDの研究を主にする。フランスに留学し、付和雷同しない個人主義の真髄を学んだが、最近ようやく、日本以外の国ではそれが世界標準と言うことに気づき愕然とした。子どもが虫好きだったので、生態系や生物分類学に詳しくなってしまった。暇ができたら「さわっていい虫、悪い虫」といったテーマで、子どもと野山を駆け巡ったときに、一番必要だったけれど出版されたことがない本を書きたい。

基本的に、精神科医は忙しければ、忙しいほど座りっぱなしになるので、体を動かすのが好き。現在、マラソン、水泳、自転車に凝っているが、三つつなげてしたことはないので、バライアスロンと勝手に言っている。スキーはかなりうまいが、行く暇がない。もともと、文学青年なので、読書は好きだが、医学関係の活字を読まなければならないため、ほとんど読めない。さらに、開業して運動する機会が減ってきたので、毎日、自転車か走って通勤しようと思っている。荷物の中には、かならず水着を入れているのだが…。この、運動不足から肥満への悩みを解決すべく、ファスティングでも企画しようと思うが、また時間がなくなるとのジレンマで模索中。

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